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そこそこいつもの光景

妙な気配で目が覚めた。

眠気を堪えて目を開けると、至近距離に牙が見える。
びくっとしてしまうが敵意は感じない……野良犬だ、それも大人しそうな。
ぺち、と額を叩くと小さく鳴いて駆けていく。
何となしにそれを見送り時計に目をやれば――――あ、1時間目に遅刻しそう。

暗転。

ごめんなさいごめんなさいつぎからきをつけますごめんなさい。
簡単に身嗜みだけ整えて学校まで走ったものの、やっぱり遅刻で平謝り。
苦笑いで明日は寝坊しないように、とだけ言い許してくれる先生は優しい。

「おはよう、六華」

と、椅子に座ったところで声をかけられた。
黒髪黒瞳、六華よりも誕生日的には年下だけど少しだけ高い背。
比較的教室で浮いてる自分に、どうしてだか声をかけてくるクラスメイト。
まあ、着物な上に人見知りで言葉数少ないのだから比較的どころじゃないか。
にこにこ楽しそうな笑顔で可愛いのに物好きな人だな、と思う。

「……おはようございます、神楽坂さん」
「あ、また丁寧語になってる。普通でいいって言ったのに」
「んん、おはよう燈子」
「うん!」

遅刻してきた六華に朝の連絡事項なんかを楽しそうに教えてくれる。
それは、嬉しい。
でもなんだか六華に構ってると燈子までクラスで浮いてしまいそうで嫌だな、とか。
色々思うけど言っても聞いてくれなさそうだから諦めた。

「そういえば、どうして遅刻したの? 目覚まし時計が鳴らなかったとか?」
「目覚まし時計は使ってないから。ただ、寝るの遅かっただけ……かな」
「わ、夜更かしさんだ。いいなぁ、私はお父さんとかが許してくれないー」

良いお父様だね、と言うと照れたように笑う。
仲良さそうでなにより。
そう思いながら着物の袂から筆記具を取り出すと、はらり、と。

「ね、六華。なんで、落ち葉が出てくるのかな?」
「…………な、なんでだろうね?」
「また?」
「…………な、なにが?」
「また、公園で寝てたの?」

燈子は……というか、六華の知り合いはみんな、というべきか。
公園に限らず屋外で夜を明かすのをすごく嫌がる。
いや、うん、当たり前だし六華だってわかってはいるんだけど、うん。
わかってるからそんな瞳を潤ませてこっち見ないで燈子。

「公園で寝ちゃダメだって」
「本業能力的に季節柄都合が良くて」
「ダメ」
「……ど、努力するから」

がた、がたり。
前から素敵な笑顔で燈子が詰め寄ってくるから、六華は椅子ごと後ろに下がり。
がた、がたがたた。
教室最後列という素敵な位置取り故にロッカーまで追い詰められた。

「ダメだからね」
「わ、わかったから」
「ぜっっったいダメだからね」
「近い、近いよ燈子、すっごい近いよ」
「だって六華逃げるから」
「もう逃げようがないよ……」

加えて言うとすごい注目を浴びている。
ちょっと恥ずかしい。
それに、ほら、そろそろ次の授業の準備しなきゃ。

「ほら燈子、次、体育だから着替えないと」
「……うん」

明らかな逃げ口上に、不承不承といった様子で離れてくれる。

「ありがとう、燈子」
「ふぇ?」
「うー……ん」

だから、ちゃんと言っておこうかな、と思った。
いつも何となく受け流してたけど、気持ちは伝わってる事を。

「心配してくれて。あと、仲良くしてくれて」
「う、うわ、六華が変になった……」
「………………さ、体育いこ。マラソンやだけどひとりで走ろ」
「あー! あー! 私も、私も! 一緒に行くから!」

自分の机に走る燈子を横目に、ノートとペンでとりあえず走り書き。

〝今日は何処かに忍び込んで寝る事にした〟

さあ、大嫌いなマラソンは友達と乗り切るとしよう。
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細氷・六華

Author:細氷・六華
株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』のキャラクターブログです。
この手のゲームが好きでない方、なりきりとかが好きでない方はお気をつけくださいませ。

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