スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夢のような、時間

そんな、素敵な時間。

朝、柔らかな陽射しで目が覚める。
その一方で背中に当たる感触は硬い……ああ、そうだった。

「ベンチでぼーっとしてたら、そのまま?」

着物の汚れを叩いて落とし、背中を伸ばす。
今日はお休み。
夏だけど陽射しはきつくないし涼しいし快適な天気かも。
どうやって過ごそうかな、ぶらぶらするか、だらだらするか、誰か誘うか。

「六華、髪に落ち葉ついてるぞ?」
「――――は?」
「ああほら、動くな。折角こんなに綺麗な髪なんだ、勿体無いだろう?」
「――――――――え?」

六華の後ろ。
そっと包み込むように、その色素の抜けた髪を撫でる人がいる。
なんで、妙に真っ白い歯がきらりと輝いているのだろう。
柔らかな陽射しがとても間違った方向に作用しているとしか思えない、爽やかだけど。
思わず振り向く。
振り向いてしまってから気づいたのだが、

「くす、木目模様が可愛いほっぺについてるぞ?」

近い、超近い、瞳に映りこむ自分が見えるくらい近い。
しかも何ですかその恥ずかしい台詞は、恥ずかしくて死にそう。
その上そっと六華の頬を撫でるのだからたまらない。
色んな意味でたまらない、なんでしょうこの目の前の危険生物。

「六華のほっぺ。気持ちいいな」
「……ななな何のつもりでしょうか霜月はん」

噛んだ。

「だ、大丈夫か!?」

そう言って六華の口を見ようとするので、もう。
もうなんか色々ダメなので。
ぺちり、と。
霜月さんの妙に爽やかな顔を手のひらで押さえた。

「大丈夫です。大丈夫ですから、離れてください」
「そう、か」

何故。
何故、どうして。
どうしてそんな哀しそうな顔をするのですか。
別に嫌とかそういうのではなく恥ずかしいだけなのに。
拒絶っぽく見えたのかもしれませんけれど。
ってああもうぐらぐらしてしまう。

「悪い。女の子の口を見るとか、最低だよな……嫌いになるよな、そんなやつ」

あ、ああ。
あああああなにこの変な霜月さん。

「す、すきです」
「え? 本当か?」
「す、すきですから。りっか、しもつきさんのこと、す……すきですから」

かあ、っと顔が熱くなる。
ううなんでこんな目に六華が合わなくてはいけないのだろう。
普段ならさらっと言える台詞が、こんな霜月さんを前にしてしまうと言えなくなる。
これじゃあただの女の子だ。
女の子ですけど。

「嬉しいよ、六華。俺も……俺も、六華の事は好きだぞ?」
「……ぁう」

本当に嬉しそうに笑って、優しく抱きしめられた。
お、おかしい。
今日の霜月さんおかしい。
見えざる狂気とかそんな感じにおかしい。
うん、おかしい。

「今日は俺と遊ばないか?」
「は、はい」

きゅ、と手を握られる。
指と指を絡める、通称恋人繋ぎとか呼ばれる繋ぎ方。
うう、恥ずかしい。
横を歩く霜月さんは歩調を六華に合わせてくれて、歩きやすくて。

「あの、今日はどうしたのですか?」
「……? 何か、変か?」
「あ、い、いえ、その、ご機嫌だな、って思っただけです」

今日の霜月さんを真っ向から変と指摘する勇気はなかった。
なかったから、誤魔化したのだけれど。

「そりゃ、六華とふたりきりでデートだからな。ご機嫌にもなるさ」
「………………ぅぅ」

なにこの……もうなにこれ。

「もっと寄らないのか? ほら、折角撮るんだから」
「え、えと、近、」
「いっそこういう方がいいか」
「え、えぇぇと、えと、えっと」

プリクラ。
おろおろする六華を霜月さんが胸に抱えてくれた。
くれた、というか抱えられた。
そのまま頬に口付けられるんじゃないかと思うくらい至近距離で撮影。
ぽーっとする。

「お、出来たぞ」
「…………」

ものすごい照れてる六華がそこにいて、破り捨てたくなった。
やめて霜月さん携帯にそんなの貼らないでやめて。

「可愛いよな、六華って」

本当に誰ですかこの霜月さん。

「お、美味いなこのクレープ! やっぱチョコバナナ王道だ……」
「そうですね。美味しいです。ごちそうになって良いのですか?」
「さすがに8歳の女の子に買わせる気はないしな」

ところかわってクレープ。
六華も一応女の子、甘い物は総じて大好き。
頬も緩むというものです。

「六華のは何クレープなんだ?」
「あ、ベリーベリーブラッディベリーですね」
「……何か途中で不穏な単語が混ざらなかったか?」
「真っ赤に違いはありませんし?」

生地に透けて赤が見える。
うん、本当に赤い。

「一口もらうな?」

あむ、と六華の手に持ったクレープに霜月さんが口をつけた。
凍る六華。
別に嫌なわけでなくあまりに自然とやられたので凍る。

「ん、俺のも食べていいぞ?」

口元に差し出されたそれを、無意識についばむ。
もぐもぐおいしい。
おいしいのだけど、またしても顔が熱くなる……やだもう。

「美味しいか?」
「……おいしいです」
「そっか、喜んでもらえて嬉しい――――あ、六華、クリームついてるぞ」
「はぇ?」

そう言い、霜月さんがずいと近寄る。
片膝をつくようにして背を六華に合わせ、まるで口付けるように。
着物を汚さないように気をつけながら右手は肩に置かれ。
左手は腰へと回され、自らに引き寄せるように。
なななななななにこれなにこれなんですかこれ。

「六華……クリーム、ついてるぞ……?」
「わ、わかりました拭いますからちょちょっと離れませんか霜月さん」
「俺が、やるよ」
「いいいいいいですからだいじょうぶですから」
「美味しそうだよな」
「ええ、ええ、おいしそうですよねくれーぷおいしそうですよね」

ぐぐぐ、と。
ろくに抵抗しないのは諦めてるのか、受け入れてるのか。

「美味しそうだよ、六華の唇」



「――――という夢を見ました」
「そんな報告する為に俺の教室までうおやめろお前らこれ夢だろ!?」

六華はあんな恋する乙女ではありません。
霜月さんもあれだけわかりやすければ救いがあります。
でもまあ霜月さんの教室まで来たのは。

「六華に恥ずかしい思いをさせた罰です」
「それ間違いなく俺のせいじゃなっぐぎ痛い痛いちょっと痛いぞ!?」
「あ、そうだ霜月さん」
「この期に及んでなんだよ六華!?」

うん、まあ、とりあえず。

「好きですよー」
「火に油を注――――」

よし、帰ろう。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

細氷・六華

Author:細氷・六華
株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』のキャラクターブログです。
この手のゲームが好きでない方、なりきりとかが好きでない方はお気をつけくださいませ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。