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何処か人気のない場所で

――――イグニッション。

そうして詠唱兵器の起動、身体の軽さを実感した時には既に。

「……わー」
「わー、とか言ってる間に斬りますよー?」

風切り音を鳴らしながら銀閃が迫っているあたり、恐ろしい。
一応、刀身こそ返してあるから大丈夫とは本人の弁。
はて果たして彼女の詠唱兵器は刀だったか、もしかすると長剣なら返す意味はなく。
非現実的な剣速のソレを視界の隅に捉えたまま片手を振るう。
この若い身空で死ぬのは御免被りたいので。
ぎちり、と。
硬質な何かが噛み合う音が鈍く鳴った。

「軽い口調で首落とそうとするのはやめてください、御魂」

御魂、十束御魂。
六華よりはかなり年上、身長も40cm以上は高い。
いつの間にか六華の戦闘上のパートナー的位置づけにいるが、経緯は思い出せない。
きっと勢いで押し切られたんだろうが、嫌なわけではないので気にしない。
ちなみに彼女は戦闘中、極めて物騒な人格者だ。
今だって口調は穏やかなのに顔はちっとも笑っていない……六華もだけど。

「でも六ちゃん相手だと油断に油断を重ねた結果負けちゃうかもしれませんし」
「……死んだらどうするんですか」
「うーん、まあ、ほら」

手にした護符は、見た目には植物製なので彼女の一撃に耐えられるものではない。
が、受け止めるのは護符ではなく護符の持つ力。
神秘、ファンタジー、メルヘン、その辺りは何でもいいのだけれど、不可視の力場だ。
一方の彼女は純粋な武器の力……つまるところ見た目どおりの攻撃方法なわけで。
加えて悲しいかな、実力はあちらの方が圧倒的に上だったりする。
お互いにほぼ零距離、お互いに少なくとも表面上は涼しい顔、しかし確実に六華の余裕はなく。
ぎ、と。
筋肉が引き絞られ、骨が軋み、限界が訪れ。

「受け止めるで――――しょっ!!」

浮いた。
地面から離れた身体は、御魂の容赦の欠片もない横薙ぎで滑空する。
これを一般人が見たら何と思うだろう。
トラックに跳ねられたって地面と水平に猛スピードで吹っ飛ぶなんて光景見れやしない。
つまり、これは。
尋常ならざる力のぶつかり合いであるわけで。

「よっと」

六華とてまた尋常ならざる力を持っている。
地面を一蹴り、平衡感覚を取り戻すと同時に気配を探る。
身体は未だに自由が利かず吹っ飛び中、彼女にとっては絶好の好機を晒したままだ。
あくまで感覚を取り戻しただけに過ぎない。

「……いない? 何処に――――」
「あ、此処です」

軽い口調とは裏腹に、とんでもなく重たい一撃が横殴りに叩きつけられた。

「んー、癒されますねっ!」

どうやら六華と等速で地面を滑っていたようだ。
暗殺大好きな彼女の事だから背中に廻るかと思っていたが、残念はずれ。
しかも黒影剣で体力引っこ抜かれる罰ゲーム。
踏んだり蹴ったり。

「こちらはちっとも癒されず心がひたすらに荒みます」
「でも、手抜きとか手加減したら怒るじゃないですか」

気遣いか余裕か、追ってこない御魂を横目に着物を払う。
イグニッションを解除すれば戻るとはいえ汚れるのは悲しい。
というか黒影剣の直撃を喰らった箇所が痛い。

「……一刀でこれでは六華の高が知れますね」

そう、御魂は二刀。
今日はまだ一刀しか抜いておらず、もう一刀は納められたまま。

「二刀、抜きましょうか?」
「いえ、それには及びません。わざわざ抜いてもらわなくとも」

呼吸を整え、笑顔をひとつ。

「抜かざるを得なくなりますから――――茨の領域」
「きゃー! ちょっとしたブレイクタイムになんて卑怯な六ちゃん!」

うねうねと茨が御魂を捉える。
とは言っても。

「左腕だけちゃんと外してるからいいではないですか。さ、二刀でどうぞ」
「う、ううっ、六ちゃんがどんどん黒い方向に育ってる気がしますね……」
「早く抜かないと氷の吐息で真冬に氷漬けの未来が待っていますが」
「わかりましたから~」

はらはらと茨が御魂に斬られた。
まあ、元々あまり期待はしていなかったけど随分あっさり斬られたものだ。
きちんと全身絡め取ったらどれくらいの時間を稼げるか、今度試そう。
今は、なにより。

「それじゃ、十束・御魂はこれより本式の二刀で六ちゃんのお相手するわけですが」

目の前の鬼を何とかしないと。

「まずはソレを何とかしないとね?」

え、と御魂が指差す方向、つまり上を見れば。
ああなんだか嫌な物が見える。
この瞬間、御魂の存在は意識から完全に消し飛んで。

「ぼーそーこくりんだーん」
「、……森王の槍」

愉悦に浸った御魂の声と、消え入りそうな六華の声が交差した。
着弾、爆発。

「よく出来ました、それじゃあいきますよー」

声が聞こえ、気付いた時には懐に潜り込まれていた。
右腕を折りたたむようにして突き出される刀を身を捩って回避。
そこから左を警戒しようとして、それは失敗だとすぐに知る。
御魂の身体が左を振るうのとは逆に廻った。
つまり、身体を死に体にしてまで繰り出される突きから連続する斬撃。

「奇策とかに相変わらず弱いですね、六ちゃん」
「御魂は相変わらず奇行が目立ちますね」
「……どうして六ちゃんは性格が歪んでしまったんでしょう」

護符で防御に力を廻したものの、受けきれず。
万全の状態なら受け止められたかもしれないが、ああも逆を突かれては無理か。
そのまま力押しで地面に叩きつけられたところで胸元に二刀目を添えられ終わり。

「0勝22敗」
「お姉さんですから」
「……年の功」
「誰っ、六ちゃんの性格こんなにしたの誰ですかっ」

はて、誰だろう。





今日の日記。

〝御魂は鬼〟

疲れた、寝よう。
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コメント

むむ、何やらわたしが戦闘狂のような扱いを……。
先日の鍛錬(兼スキンシップ)の時の話ですか。
あれはですね、その、ほら……最近忙しくて剣を握るのが久しぶりだったのでつい。
……うう、ごめんなさいでした。
でも楽しかったです、またやりましょうね!

……あながち間違ってもいないと思うのですが。
嫌なわけではないですし、練習にもなりますので、また。
テスト明けにでもお付き合いください。

あとコメントありがとうございました。

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細氷・六華

Author:細氷・六華
株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』のキャラクターブログです。
この手のゲームが好きでない方、なりきりとかが好きでない方はお気をつけくださいませ。

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